赤ちょうちんでひとりごと

音楽を愛して止まないAKKOのお気楽なひとりごと。自分の好きなことや感じたことを徒然なるままに綴ってます。

ニューオーリンズのお母さん、安らかに

毎年、4月末~5月初にニューオーリンズにある"Fair Grounds競馬場"で開催されるNew Orleans Jazz & Heritage Festival。音楽好きな人なら誰でも間違いなく楽しめる、素晴らしい音楽フェスティバルで、私も2002年に初めて見た時にすっかり虜となって、その後2005年、そして、2006年とこのフェスを訪れました。

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※写真提供:一恵おばちゃん

そして、そのニューオーリンズで知り合い、私が"ニューオーリンズのお母さん"と慕っていた「通称:一恵おばちゃん(テキサス在住)」が、現地時間の5/29の朝、永遠の眠りについたのだと、先程友人から連絡を受けました。

かなり悪い状態なのにもかかわらず、人生の無二の楽しみであるこのフェスに今年も来ていたらしく、今年現地で彼女に会った友人から「もうそんなに長くはないかも」と先々週聞いた矢先の事。まさかこんなに早く逝ってしまうなんて・・・。あまりに急な連絡にただ呆然として、そして、これを書きながらも涙が止まりません。

一恵おばちゃんとの出会いは2005年、私が泊まっていたニューオーリンズの"Marquette House"というユースホステルでした。彼女は、毎年フェスの間ここを定宿としており、いわば「主(ぬし)」のような存在で、特に日本の青年バックパッカーにはよく世話を焼いていたなあ。

翌2006年のフェスの時は彼女と同じ部屋になったので、朝はユースのパティオで「AKKOちゃん、お蕎麦茹でといて」「AKKOちゃん、ご飯炊いておにぎり作って彼らに持たせてやって」なんて、なんだか、にわか親子のように生活してたっけ・・・。

そして、そんな面倒のいい優しさの中にも、凛とした厳しさもあって、英語や生活に関しては全面的に助けるということはしませんでした。例えば、私がユースで何かダニらしき虫に刺されて、腕がパンパンに腫れあがってしまった時も、「何も言わないで我慢するのは日本人の悪いところ。同じお金を払っているのだから、マットレスを変えてもらえるようにフロントに言って来なさい。ダニは"bedbug"、他にわからない単語はない?しっかり言ってくるのよ!」というように、ポンと背中を押して見守ってくれる感じ。こういう接し方、私は本当の愛情を覚えて好きなんですよね。

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※写真提供:一恵おばちゃん

夜のライブは危険だからと、一緒に車に乗せていってくれた一恵おばちゃん。ハリケーン被災後のアメリカ社会の矛盾を見ておくべきだと、危険地区まで運転して連れていってくれた一恵おばちゃん。ニューオーリンズ最終日の夜に知り合った日本人仲間で飲み明かす時も、朝方近くまで付き合ってくれた一恵おばちゃん。逝ってしまったなんてまだ信じられません。

でも、人生の最後に彼女が大好きなニューオーリンズで大好きなフェスを見て、その後すぐに天に召されるなんてところが一恵おばちゃんらしい。神様が連れていくのをちょっとだけ待ってくれていたのですね。きっと天国でも音楽を聞きまくってみんなと踊っていることでしょう。一恵おばちゃん、たくさんの素敵な思い出をありがとう。どうぞ安らかにお眠りください。