昨日はSaxophoneつながりの友人に誘われて、久しぶりに落語観賞@紀尾井ホールに行って参りました。「冬の正蔵」という林家正蔵独演会で、今回は其の四ということ。
私は高校時代が落研(詳しくはプロフィールで)ということもあって、テレビ・ラジオや寄席で落語に触れることが比較的多かったのですが、この何年かはほとんどご無沙汰でしたので、生で見るのは本当に久しぶりです。
正楽師匠の紙切りは実にお見事!観客のリクエストにお応えして、「ひなまつり」「俊寛」「鬼の平蔵(鬼平犯科帳)」「東京マラソン」「カーリング」を繊細かつ美しい構図で切り上げてました。日本芸術ってすばらしい。
今回は切り上がった作品はリクエストした人がもらえる仕組みだったですが、あれは記念になるなあ。私も欲しかったけれど、声をあげてリクエストする勇気がありませんでした・・・。
最後の演目「薮入り」ですが、これは親子の情愛がしみじみと語られる落語で、泣いて笑ってという人情味あふれるお噺。多くの落語ファンに愛されている噺で、もちろん私も類にもれず大好きな演目です。
ちなみに、「薮入り」という言葉は、もはや死語となっていますが、これは商家に住み込んで働く奉公人たちがもらえる年2回のお休み(暦では1/16と7/16を指す)のことです。当時は、奉公人たちにとってもそれを待つ親たちにとっても貴重な1日となっていたようですね。
「薮入り」は、三代目(先代)三遊亭金馬師匠の得意ネタとして有名なのですが、この三代目 三遊亭金馬師匠という方は、東京大空襲で家族を亡くし、唯一生き残った海老名香葉子さん(正蔵師匠のお母様)を養女として育てられた方ですので、正蔵師匠にとっては思い入れのある演目なのだと、幕の最後に話しておられました。
ただ、今回の正蔵師匠の「薮入り」は、あまりに三代目 三遊亭金馬流「薮入り」のままのセリフまわしだったので、時代背景が少しわかりずらいなと思いました。もう少し正蔵流にアレンジしてみてもよかったのでは、というのが個人的な感想です。
でも、この「薮入り」という落語、本当にステキなお噺なので、落語にご興味のある方は入門編として是非聞いてみてはいかがでしょうか。
それにしても前座のたこ平の「厄払い」はひどかった・・・。ダダすべり、ドンすべりでした。未来の真打に向けて、がんばれ、たこ平!
【冬の正蔵・演目】
1. 落語「厄払い」(林家たこ平)
2. 落語「坊主の遊び」(林家正蔵)
3. 紙切り(林家正楽)
4. 落語「薮入り」(林家正蔵)