赤ちょうちんでひとりごと

音楽を愛して止まないAKKOのお気楽なひとりごと。自分の好きなことや感じたことを徒然なるままに綴ってます。

English Rakugo@Oedo Ryogoku-tei

東京では22日に桜(ソメイヨシノ)が満開となりました。これは統計開始以来2番目の早さだそうですね。赤ちょうちんのプロモーションにお花見を企画しようとしていたのですが、すっかりその機を逸しそうです(汗)。オロオロ・・・。

そんな桜満開の中、英語学習仲間の1人である「鹿鳴家喜餅(かなりや・きもち)」さんから英語落語発表会のお誘いを受け、両国にある「お江戸両国亭」へ行ってまいりました(写真は寄席の後ちょこっとだけお花見をした両国公園)。

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昨日の演目は、記事一番下のプログラムのとおり。我らが喜餅さんは、二部のトップバッターの出演で、演目は「バールのようなもの("Something like a Crowbar")」です。このネタ、元々は小説家・清水義範さんが発表された短編小説なのですが、私のような落語好きですと、立川志の輔師匠新作落語から知ったネタかな。

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この噺は、窃盗事件のニュース報道等でよく耳にする「バールのようなもの」って一体何?という大工の八っつぁんの素朴な疑問から端を発します。「バールのようなものはバールではない」というご隠居さんと八っつぁんとのやりとりに始まり、八っつぁん夫婦のドタバタ劇をオチとした、落語ならではのナンセンスストーリー。

英語落語といえど(英語もさることながら)落語そのものが上手くないと、お客さん惹きつけられませんが、喜餅さんは小気味の良いテンポで見事に演じておられました。全編英語ですが表情や仕草がとても豊かなのでわかりやすく、そして、何より楽しかったです。

喜餅さんが日頃学んでおられる英語を「落語」というカタチでアウトプットするという目のつけどころも、自分ならではのスタイルを確立されている感じで素晴らしいなと思います。

※追記:喜餅さんご本人のブログにこの時の演目"something like a crowbar(バールのようなもの)"のあらすじや、今後の予定が記載されています。英語落語にご興味のある方はここをクリック!喜餅さん、写真提供ありがとうございます~。

一部の演目にある「火焔太鼓(かえんだいこ)」は、私も高校時代にやったことのある大好きなお噺です(私の場合は日本語なのですが)。日本語でのオチは「おジャンになるといけねえ」で、これは半鐘(fire bell)が鳴る「ジャンジャンジャン」という音との掛け言葉になっています。

それを英語のオチでは何というのか興味津々だったのですが、"fire"を使った慣用表現、"under fire"との掛け言葉にしていたりして、なんだかとっても粋だな~と思いました。

喜餅さんに寄ると、英語の台本のたたき台は、指導者である「鹿鳴家英楽(かなりや・えいらく)」先生が書いて下さるとのこと。日本語ならではの落語の言い回しを、英語で表現するって相当難しいと思うのですが、どの演目もわかりやすかったです。

英楽先生は英語と日本語のボキャブラリーだけでなく、語学という壁を越えた「コトバ」そのもののセンスというか感度が研ぎ澄まされているんでしょうね~。

昨日は、その英楽先生ご自身の英語落語も2本聞くことができました。先生は発音がとにかくきれいで、落語もめちゃめちゃお上手でした。大トリでの先生のネタは、登場人物が多くて、情の中にもくすぐりのエッセンスを散りばめなくてはいけない、古典落語の中でも難しい演目されている「文七元結(ぶんしちもっとい)」という人情噺だったのですが、先生の演じっぷりはそれはそれは見事なもので、全編英語だったにもかかわらず私は思わず涙してしまいました。感動~。

※追記:鹿鳴家英楽先生の英語での小噺は、ここで聞くことができます。落語の基本もとてもわかりやすく説明されていますので興味のある方はクリックを。

Kimochiname_2 ここで落語のプチ知識。演者さんの名前を書いた紙の札は「めくり」といい、そして、この「めくり」を書くためのユニークな書体を「寄席文字」といいます。この写真は喜餅さんのめくりですが、和風テイストが漂っていてなんとも風流ですよね。

寄席文字は太い筆で余白が少なく書かれているのが特徴。これは、「客席に空いている席がなく、大入りになりますように」という縁起を担いでいるのだそうな。江戸っ子の粋な感覚には驚くばかりです。江戸発祥の文化を世界が称賛するのもうなずけますね。

ちなみに、私の高校時代の部活では、それぞれの学年の「書道」選択の部員が先輩から寄席文字を習って「めくり」を書いてました(意外と本格的でしょ、我が落研)。私は「音楽」選択だったので書いたことがありません。今思うと習っておけばよかったな~(後悔)。

それにしても、鹿鳴家喜餅(かなりやきもち)って、ウィットに富んだいい高座名だなあって感心しきりです。亭号の「鹿鳴家」に「喜餅」で「かなりや・きもち」。おおお?んんん?そうなんです「かなり焼きもち」。ネーミングお見事です。山田くん、座布団一枚!

喜餅さんご本人は、枕(=落語のお噺の前に話す導入部のこと)の部分で、"I am NOT a jealous man." みたいなこと言っておられましたが、真相は・・・。私は存じあげません(笑)。

喜餅さん、いつか喜餅さんにぴったりのちょっとエロティックなネタ「短命」か、人情たっぷりの「芝浜」をやって下さい~(高校時代どっちもやったことがあるネタだけに英語で聞いてみたくって~)。

English_rakugo
※1部の「試し酒」と「火焔太鼓」の英語のプログラム表記が逆のようですね。